我慢の続き

※前回はこちら

ぷりぷりと文句を言っていた火置さんだけど、僕はそんな彼女の文句を聞きながらも指で彼女の敏感な部分を刺激するのをやめなかった。

ひたすら彼女の中心をクルクルと触る僕のしつこさに呆れたのか、彼女は『はぁ……』とため息を一つしてからまた目を瞑る。そしてお腹に力を入れだした。

『お腹に力入れた状態で我慢してよ。気持ちいいのを我慢しないと意味なくない?』。ついさっき僕がしたこのお願いを、どうやら聞いてくれるようだ。

……火置さんって優しいな。結局僕のお願いを何でも聞いてくれるんだから。

「さっき『うるさい』とか言ってたのに……結局お腹に力入れたうえで我慢してくれるんだね。……お腹に力入れると、ここがコリコリするからすぐわかるよ」

「……っ……」

「力を抜いてたときよりも、気持ちいいの強くなっただろ?どう?」

「気持ち、いいよ……んっ」

「もっと気持ちよくなって」

「……馬鹿……」

彼女の反応は、力を入れていなかったさっきとは明らかに異なっている。

だって、だらんとしていたさっきは僕にクリトリスをクルクル触られてても動かずじっとできていたのに、今では時折ピクピクと体を動かしている。息だって、徐々に上がってきている。

……力を入れると入れないじゃ、そんなに気持ちよさが違うんだね。

すごいよな。お腹に力を入れてもらうと締まるから、男側も気持ちいいのに……。女性側も気持ちよくなれるなんて、人間ってよくできてるなぁって感心してしまう。

「……まだ、頭の中に青い空は見えてる?」

僕が教えた『イクのを我慢』するための秘訣だ。『青い空とか白い雲とかを考えれば、気持ちいいの我慢できるよ』。以前そう教えたことがある。

「んっ、見えてる、よっ…!」

「そうか……負けてられないな……」

……僕はさっきから勝手に勝負している。君の『我慢』を上回る『気持ちよさ』を与えられるかどうか。

でもそもそも最初は、僕の方から『イクのが早すぎるからもっと我慢して』って言った気がする。我慢してって言ったり、我慢できなくなってほしいと思ったり……僕はとても自分勝手かもしれない。

「?何勝手に、勝負してるの……?」

「…………火置さんは気にしなくていいよ」

君の中からは、どんどんとろみのある粘液が溢れてきている。目を瞑って耐えているようだけど、体は感じてるんだっていうのが、丸わかりなんだよ。

だってクリトリスがコリコリで、体がピクピク動いて、息が上がって、中から水が溢れてるんだから。

中、パンパンなんだろうな…………あ、今入ったらすごい気持ちよさそう。……目を瞑ってる君に、勝手に入りたい……。

一度頭に浮かんでしまうと、もうその願望は消せない。

……どうしよう、今入ったらびっくりするかな?目を瞑ってるもんな。……びっくりさせたいな。勝手に入ったら、火置さん怒るかな?

……やってみよう。僕は、目を瞑った状態で座って脚を開いている君に自分の体を寄せる。

「!」

……あ、気づかれた……。まあ、そうだよな。でもいいや、もう遅い。そんなの気にしてられないから、今すぐ入りたい。

僕は彼女と向き合って座った状態で、自分の先端を彼女にあてがう。あ……すごい……ヌルヌル……。

「っ、まっ…て…!」

「無理……」

チュプ、チュプ、ジュププ……

「あああああ………」

「ほら、我慢、してよ……」

挿れるとクリトリスがおもしろいくらいポコっと飛び出す。気持ちいいからなのか、中から押されて盛り上がるのからなのか……もしくはその両方かもしれない。

僕は親指でそれを転がしながら、ゆっくりと自分のものを奥に押し付ける。向かい合って座った体勢だから勢いよくは動けない。でもこれで十分。

だって彼女は、奥のとある一点を攻めるとすぐにイッちゃうから。別に彼女をイかせるだけなら、大きく激しく動く必要はない。クリトリスをクルクルしながらそこにピンポイントで何度か当てることができれば、僕の『勝ち』はほぼ確定する。

ドンピシャでソコに当たったんだろう。彼女が一際大きくビクリと動く。そして、大きな声を出す。

首を振って悶える火置さん。やった、この様子ならきっともう僕の勝ちだ。10分以内に勝負は決まるだろう。

「はぁ……どうしたの?火置さん……。ビクビクっていうより、ガクガクって感じだよ。そんなに気持ちいい……?」

「あっ!あっ!がまん、するの!あ、あっ!」

まだ我慢とか言ってるんだ……かわいい……。我慢できないの、目に見えてるのに……。

「まだ我慢するんだ?頑張るなぁ。でもできる?頑張るって言うなら……僕は応援する……」

身悶えて震える火置さん。すごい気持ちよさそう……どうしよう、もっと動きたい。『我慢できない』って言われたい。…………そうだ、そうしよう。

僕は目標を定める。今回のセックスで僕は彼女に『もうがまんできない』か『もうがまんしたくない』って言わせること。……よし、絶対に言わせてやりたい。

「火置さん、寝かすね。座ったままだとちょっと動きづらいから。……寝かしたらいっぱい動けるから……これで我慢できたら、すごいと思う。だからやってみよう、な?」

つながったまま、君をゆっくりとベッドに倒す。はあはあ息を荒げる君。入口と奥、大きく前後に動けば両方刺激できる。君の、一番気持ちいい部分を両方刺激して、クリトリスも同時に触って、早く君をイかせたい。

……いやいや危ない、イかせる前に、さっきの言葉を言わせるのを忘れないようにしなくちゃな。
『もうがまんできない……』か『もうがまんしたくないっ!』。

彼女の声を想像して脳内再生する。……やばい、僕が我慢できなくなる。

彼女が薄目を開けて僕を見る。それを合図に大きく動き出す。視覚の威力は、やっぱり強いから。

『気持ちいいのを我慢』するために思い描く頭の中の青い空なんて、もう全部忘れさせてあげるよ。ここからは僕のことしか考えないで。僕は君の頭を占領するものであれば、爽やかで美しい青空にだって嫉妬できるんだから。

「ああっ!あああっ!がま、ん!がまんする!の!あ、ああっ!やっ!きゃあっ!!」

「火置さん、どう?ほら、我慢、我慢して……ああっ!我慢して!」

「んっんっ!はぁ、あん、あ、や、がまん、する…っ!あああっ!」

高い声に頭が狂いそう。でも負けたくない……!

僕は彼女の我慢を超える快感を与えるために、大きく大きく動き、彼女を攻め続けた。部屋にはおかしくなりそうな水の音と、脳がしびれるような彼女の絶叫が響いていた。


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