趣味と性格
「ランニングとスイミングが好きなんて、ヤミは運動が得意なの?」
「得意と言われると、そうでもない気もする。考え事が好きだから、ランニングとスイミングは最適なんだ。アイデアが浮かびやすくなるからな」
「運動したくて走ったり泳いだりするわけじゃないってこと?」
「もちろん体を動かすのは気持ちがいい。でも……じゃあ球技とか格闘技とかをやりたいかって言われたら、別にやりたくない」
「……一人でできるスポーツが好きなんだ」
「一人で、道具を使わずにできるものが好きだね。君は運動は?」
「…………好き……といいたい人生だった」
「……よく、一人で旅ができているね?」
「旅は案外大丈夫なもんだよ?魔法でなんとかなることもあるし。それに私は、歩くのは好き。でも走るのは無駄に疲れるから嫌い。水に浮くのは好きだけど、着替えを考えるとスイミングはちょっと」
「ズボラなの?」
「グサリ」
「ズボラなのかなとは思ってた。だって、君のそのカバンの中っていつもぐちゃぐちゃでしょ」
「!?なぜそれを!?」
「だって君がカバンの中を探しているときっていつも、カバンの中をかき回すように探ってるから」
「…………見過ぎじゃない?怖い」
「いやいや、だって火置さんのカバンの漁り方ってなんか豪快っていうかなんていうか……ともかくすごく目立つんだよ」
「……怖い」
君の趣味
「それじゃあ、火置さんの趣味は?」
「趣味……歌うこと、絵を描くこと、読書……」
「インドアだなあ」
「あと、景色のいい場所を探すこと!」
「冒険家だね」
「そう、私は冒険家。旅人なの。絶対に同じ場所に住み続けたくない」
「へぇ、根無し草」
「そう。同じ場所に住まなかったら、掃除も洗濯もする必要ないしね。宿に泊まればいいんだから」
「…………」
「……何よ……」
「やっぱりズボラなんだね」
「無駄なことはしたくないの。得意じゃないことはしたくないの。潔く生きていくのよ」
「………………悪くないと思うよ」
「えっ」
「え?」
「女の子のクセにとか言わないの?」
「えっなんで??僕の母は掃除とか洗濯とか料理とか結構苦手だったよ。だから家政婦さんによく頼んでた」
「…………お母さんと気が合いそう」
「……天国であったら伝えとくよ。お母さんと気が合いそうな女の子と会ったよって」
「………………よろしく」
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