「ワンワン」
「………………ヤミ?」
……どういうつもりだろう?いつだったか、わんわん言ってきたことはあったけど……。あのときはちゃんと、そういう会話の流れがあった気がする。
今日は……突然ね。
「ワンワン」
「……ちょっと、なに……」
ふわふわした彼の髪の毛を触ると、確かに動物に癒やされているような感覚になることがある。
にしても、いきなりどうした。ちょっと笑っちゃう。
「ふ、ふふ…………ヤミ、なによ……どうしたの……」
ペロン
ヤミが私の頬を舐めた。邪気も何も無い『ペロン』。かわいいな。私から『オキシトシン』が分泌されるのがわかる。癒やしのホルモン。愛情のホルモン。
「ヤミ、かわいいね」
いいこいいこ、いいこいいこ。
なでなでは、相手のためだけじゃなく自分のためでもあると思う。だって自分が撫でられているときと同じくらい、胸に幸せが充満していくから。風船にぷーっって息を吹き入れたときみたいにぷくっと、私の胸は幸せで膨れ上がる。
ヤミは目をつぶって、私のいいこいいこに身を任せてくれていた。
ああ、幸せ。ずっとなでなでしていたい。ずっとなでなでさせてほしい。
なでなで
なでなで
なでなで
なでなで
なでなで
なでなで………………………………
ふわふわして、眠くなってきちゃう。そうだ、今は午後1時。お昼ごはんも程よく消化されてきて、シエスタにはもってこいの時間だ。
ヤミ犬まくらでお昼寝、天にも昇るような気持ち。
私はうとうとする。
・
・
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ぺろぺろぺろぺろ
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ぺろぺろぺろ……ぺろぺろぺろんぺろん
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べろん、ぺろぺろ……べろんべろん、レロレロレロレロ……
…………、ちょ、ん?
半分夢に落ちていたのに、ピチャピチャとした水の音で目が覚める。薄目を開けると、私の体の上でもぞもぞと動く黒いふわふわが見えた。ヤミの頭。……なにやってるの?
ペロペロペロペロペロペロペロペロ
く、くすぐったい……。ヤミは私の全身をなにやら一生懸命舐めている。気づけば私は裸になっていて、ヤミも裸だった。
「や、み…………?」
「ワンワン」
「ね、いつまで、犬になってるの……?」
「ハッハッハッ」
「興奮しないの……って、っあっ……!」
彼は私の脚の間に顔を入れて、鼻で溝をかき分けた。私の中は、もう濡れていた。……なんで?別に私、いやらしいことなんて考えてない。違うもん、変なこと、考えてないのに。
まだ頭の回転は鈍い。彼は、私の股間に顔が埋まるくらい鼻をつっこんで、ふんふんと匂いを嗅いでいる。変態。どう考えても変態。ちょっと、そんなに至近距離で匂いを嗅ぐのは流石にキモいってば……ヤミ、やめて、やめて……。
入らない力で彼の頭をぐぐっと押す。でも彼は、全身を使ってそれを拒んだ。
ペチャ…………
「っんあっ!」
ペチャ、ペチャペチャ、ペロペロペロペロペロ……
「あっあっあっ」
だめだ、だめ…………ボーっとしていた頭に、快感の打撃。もう私は酩酊。テクニカルノックアウトで、立ち直れない。
クタッとしてしまった私を、ヤミが見下ろしている。……なに、その勝ち誇った目……。さっきまで犬に徹してたくせに、そうやって、『我』を出すの、やめて……。
反論しようと思ったのに、彼は小さく「ワン」と言ってから、私に挿入した。体がビクビクと反応し、震える息がカラダから漏れて、表情の制御機能が失われる。本当は見せたくないだらしない顔を、彼に晒している。その羞恥すら……快楽に変わる。
「あ、あ、あ、あ、あ」
ゆっくりゆっくり引き抜き、押し戻し、彼は私の反応を見ている。犬はそんなふうにセックスしないでしょ。バカ、絶対に、違う。こんな犬、いてたまるものか。
……そうは思うけど、なにも言えない。気持ちよくて、頭がふわふわしちゃってる。
「あ、あ、や、ヤミ、やだ、なによ、みな、いで」
すると彼はわざと、私の鼻にふれる距離に顔を近づけて、その目をじーっと見つめた。
見つめて、入れるときにベロを出しながら「ハァーッ」って息を吐く。なにそれ犬のつもり?そんなにいやらしい犬、いる?心で文句を言いつつも、わたしは震えて気持ちよさに身悶える。
「バカ、いぬ……」
「わんわん」
目を細めて私を奥まで見透かして、甘い声でこの犬は言う。鼻をカプリとアマガミされる。それだけで体中に電流が駆け巡る。
「あっ」
「っく……」
私がビクッとしたときに中が締まったのか、ヤミがちょっと呻いた。……このまま負けるもんか……。今こそが逆転の大チャンス。
「おす、わり」
犬なんでしょう……?言う事、聞きなさい。
「!」
彼が軽く目を見開く。まさかそんなこと言われると思っていなくて、ちょっと驚いたようだった。……そして、つながったまま体を立てて『おすわり』した。
んっ!……中の角度が変わって当たるところが変わって、今度は私がうめく。
彼は、そういう細かな変化を見逃さない。体を立てたまま、私の太ももを持って動く。
「はぁ、はぁ、はぁ」
ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん
ああ、ひどい顔……ヤミ、ひどい顔してる……私のヤミ……最高にドロドロの顔……すごいエッチだね……。
「あ、あ、あ、ヤミ、顔、すごいよ」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「犬だね、犬。ほんとに、犬。どーぶつ、あっ」
「ん、あ、はぁ、はぁっ、う、あ」
「きもち、いい?ね、きもち、い?あ、あっ」
ばちゅ、ばちゅ、ちゅぷっ、ぷちゅ
音を聞くだけで、体が燃え上がる。頭がカーってなる。興奮しちゃって、おかしくなる。
「あっあっあっ!気持ち、いい!ヤミ、あっ、きもちよくて、ダメッだめ!ああっ!!」
彼は私の腰を転がして、真上からズボズボと刺した。一番欲しいところまで届くから、私の体は喜びに震えた。
ぶちゅっ、ぶちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅっ
「ああっあ、あっあっ、や、だめ!だめ!きもちいい、きもち、い、いっっ!」
ヤミがバチンバチン体を入れてくるから、出っ張ったクリトリスの先がこすれる。中の気持ちよさと、クリトリスの気持ちよさが合わさる。あ、だめだめだめだめだめ……私はあっという間にいってしまった。
「~~~っっっ!!!!っ!あ、あああああっ!!」
ぐっぽ、ぐっぽ、じゅっぽ、じゅっぽ
イったって、彼は止まらない。……それは知ってる。ヤミは、私がイくと、ここぞとばかりに攻め立てるから。燃えカスすら残らないほど強く激しく、私に火を付けてとどめを刺そうとする。
ぐっぽ、ぐっぽ、じゅっぽ、じゅっぽ、ぐっぽ、ぐっぽ、じゅっぽ、じゅっぽ
「あーーっヤミ、や、おか、し、く、な……る、っあ……」
ヤミは勢いよく自分を抜いた。抜くときにヌチュンっ!っていう凄い音がして、私はブルブルと震える。そして彼は震える私の体をひっくり返して四つん這いにさせた。
……そして、耳元で言った。
「わんわん」
ぶちゅ、ちゅ……にゅちゅ…………
「!!!あ、ああああっ、あっあっ!!」
四つん這いの私に、彼が四つん這いで覆いかぶさっている。どうぶつだ、どうぶつ……あ、あ、あ、だめ、奥に刺さってきもちいい…………。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「ど、ぶつ、だよ、こん、なの」
「わん、わん、んんっ、あ、はぁ、はぁ」
「あ、あ、や、だめ、あ、も、だめ、ヤミ、だめ、わんこは、こんなことしたら、だめ、ああっ、だめなのに、ああっ」
「あー……はぁ、はぁ、はぁ、ああ……火置さん…………かわいい…………」
「!!」
いきなり彼の『ニンゲン』の声が聞こえて、私の脳はバグった。動揺する私の肩を下に押し付けてお尻を上げさせて、彼は後ろから私を攻めた。私は言葉にならない叫び声を上げる。
「あっあっあっあっあっあっ!!」
「『どうぶつ』は……どっち?」
一番奥、その奥に向かって、彼はぐさっと突き刺す。ぶちゅりと根本まで彼のものが入った感じがして、内臓の圧迫感に私は息を詰まらせる。その1秒後くらいに彼のものが中でピクリと動き、彼は射精する。恍惚の声が、私の背後から聞こえる。
「あ、あ、あーー…………きもち、いー…………」
私は四つん這いのまま、人間の彼の強さを思い知っていた。犬は、私の方だったのかもしれない。