絶頂する君を観察する

君の呂律が回らなくなってきた。

「あ……あ、や、やみ、あ、おか、おかしくなる」

僕は君の中の奥の壁の、同じ場所を一定のリズムでコツコツと押す。

すると君の中はたまにサワサワと震えたり、入り口がパクパクと動いたりしだす。奥から溢れる終わりのない液体。結合部からはヌチ、ヌチという水音が鳴る。

この音は、君が達しそうな合図でもある。

なぜかと言うと、僕達の隙間が限りなくゼロになったときにしか鳴らない音だから。

ピストンの摩擦によって空気が追い出され、中が真空状態に近くなって、お互いが引き合うように吸引するようになると、この「ヌチヌチ」という音が出る。

こうやって想像してみればわかりやすい。筒に半分ゼリーを詰めて振ったらチャポチャポ大きな音がするけど、筒いっぱいにゼリーを詰めて振っても音は出ないだろ?

僕達を隔てるものがなくなるほど、君の粘液が中いっぱいに満ちるほど、その『音』は、深みを増して控え目に、内省的になっていくんだ。

ただ……控え目なのは音だけで、中はすごいことになっているから僕は大変だけどな。

だって君と僕の隙間がないってことはつまり……君の中の壁がパツパツに膨れて、細かな隙間は粘液で満たされて、さらに君自身が内部を絞り上げて僕にピッタリ迫っているって事だから。

だからこうやって冷静になって分析していないと、身が持たない。僕は君の絶頂の予感が見えたら、目の前の君のありのままを、ただただ観察するように心がけている。

それにしても………すごいな。すごい締めてくる……。君の壁にはいくつものプチプチした小さな風船みたいなものがあるけど、それ全部がぷくっと膨れて僕のものをミチミチと圧迫するんだ。

何も考えずにバコバコ腰を振って、この感覚を味わわないのは、絶対にもったいないと思う。
こんなにやらしくてかわいくて、胸が締め付けられるように苦しくなって、でも男でよかったって満足するような、とにかく最高の感覚なんだから。

君の様子はどうだろう。あ……すごい、イきたくてイきたくてたまらなそう……。

手の場所をどうしたらいいか分からなくて、僕の胸を触ったり腰を掴んでみたり、シーツの端を握ったりと落ち着きがない。

苦しそうな息をして、虚ろな目をしてる。いつもはあんなに鋭く煌めく目なのに……。こんな火置ひおきさん、誰にも見せられないよ……。

あと、イく前の君の決定的な特徴がもう一つあるんだ。声が小さくなって、語彙が乏しくなる。

「あ、あ、い、いく、いっちゃう、だめ、あ、や、やみ、いく、いくいく、あたま、へん、くるう」

こんな事言われて……どうしようかって、困ってしまうよな?

イきたくて、もうすこしでイけそうで、気持ちよくて狂いそうだって言う君にかけるべき言葉はシンプルだ。

僕の思ってることと感じたことををそのまま、素直に、優しく、伝えればいい。

「イっちゃう?ここ、気持ちいい?火置さんの中、キュウキュウしてる。……ああ、すごく気持ちいいよ。最高の気分だ。火置さんの中が、僕の事好きだよって言ってるのがわかる。だって僕のにまとわりついて離れないんだ……」

「あ、あ、すき、すき、やみ、やみすき、や、ゾワゾワする、あたるの、きもちいい、あ、あ」

「好き?僕も好き……。気持ちいい……ずっとニュルニュルの火置さんの中を、行ったり来たりしたいよ……。一生していたい。だっていっぱい濡らしてかわいいから……」

「ひあっ、やあっ、き、もちい、いっ!」

僕が素直に感想を述べると、火置さんはかなりわかりやすく反応してしまう。中も『ウネウネっ』って動く。

しかもウネウネ動くと中が一瞬ふわって広がるから、水の音が大きくなってまたさらに興奮してしまうんだ。

ぴちゃ、ぐちゃ……

「あ………いく……ごめ、また、さき、いっちゃう……どうしよ、やみ、ごめんね、いく、いく、いくいくいくいく」

火置さんの腹筋がきゅーーっと絞られていく。中がピッタリと締まって、僕の周りにくっつく。彼女はびっくりするほど汗をかき出す。オーガズムで発汗するっていうのは、本当だ。彼女はイくと、いろんな場所がびしょびしょになる。

このフェーズが来たら、僕はもう、彼女の気持ち良い場所を擦るだけだ。ほとんど先まで全部性器を抜いて、入り口直前のコリッとした場所を刺激する。中は限界まで締まってるから亀頭が絞られてかなり気持ちいい。

そして、先端が入り口まで来たらまた、力強く中に入っていく。

速くというより、強く。「ドンッ」って感じで、一番奥に押し付ける。このときも僕の先端が奥に当たるから気持ちいい。つまり全部気持ちいい。水の音もいやらしいから、僕まで頭が狂いそう。

さっきの動きを、しっかり、丁寧に、何度か繰り返すと、火置さんの声が呟き声に変わった。いくいくいくいく。

中のいろんな壁のいろんな場所が、細かく震えだす。さっきまでピッタリ締まっていた中が羽毛ぶとんみたいに軽くふんわりとしだす。彼女の腰が震える。火置さんの、僕につかまる手が強くなる。そして……

「ああっ!!ああああっ!!!う、んんっ!ヤミッ!!ああっ!ヤミッ!!好きっ!好きっ!あああっ!!!!たすけ、て、ああっ!!!」

彼女は絶頂する。

火置さんはよく、イくときに「好き」「助けて」「狂っちゃう」って言う。あと、僕の名前は必ず呼んでくれる。

ちなみに僕は、火置さんが絶頂する時に言う『助けて』がとても好きだ。頼られてる気がするのと、助けて欲しくなるほどおかしくしたのは僕なんだけどね……っていう征服感みたいなものを感じられるから。

イってるときの彼女の体は本当にすごい。奥を突く度にビグンッ!ビグンッ!って、尋常じゃないくらいの跳ね方をする。

それが嬉しくて、ちょっと面白くて、僕はイった彼女の体をたくさん突き上げるようにしている。このときにも、嬉しい言葉をたくさん言ってくれる。

「死んじゃう」とか「もうイってるの!」とかを言われると、もっとしてあげたくなってしまう。「大好きなの」って言われることもあって、それはキュンとする。

たまになぜか「ごめんなさい」とか「許して」とか言われることがあって、そのときは猛烈に興奮することがある。なぜ興奮するんだろう。……僕の心の奥底の何かを刺激するんだろうか。

洪水のようにジャバジャバになった彼女の中で、僕は思う存分性器を泳がせる。僕だってもう、我慢できない。ヒクヒクと妖しく蠢く貪欲なこの穴の中に、たくさんの僕をぶちまけたい。たくさん出して、この中を満たしたい。僕でいっぱいにして満足させてあげたい。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よろしければシェアしてくださいませ!
  • URLをコピーしました!