終わってすぐに、2回戦。……結構珍しいパターンだ。
僕達って、どうやらセックスの回数は多い……みたいだ。ほぼ毎日しているし、多くて1日3回はするから。彼女からも何度か『多いって』と言われたことがある。
でも実は、1回目が終わってすぐ2回目をする……っていうパターンはとても少ない。1回のセックスにじっくり時間をかけるから、終わったらある程度満足して次までは時間があくのが普通だからだ。
でも今日は、違った。さっきもたっぷり時間をかけてしたけれど(最初のキスを始まりとして、終わるまで1時間はかかってる)、終わって少し息が整ったら、彼女がこう切り出した。
「もう一回、したい」
「珍しい……どうしたの?」
「なんか……したくなったの。……もうできる?」
「試してみて」
僕がさっき出してから……15分くらいか?できる気はしてるけど、どうかな?
火置さんがふにゃふにゃになった僕の性器を優しく触る。彼女は小さく「かわいい」という。……かわいいんだ。
にしても……杞憂だったみたいだ。だんだん固くなってくるのがわかる。……あっ、気持ちよくて思わずため息。彼女が口に含んでくれて、生暖かさにゾワゾワ。ああ、もっと大きくなれる。僕のは長く、さっきよりずっと固くなる。君を十分に愛せるだけの硬度を保つ。
「……できそう」
「じゃあ、しよう」
「……ね、私が上になりたい」
「それじゃあ、僕は寝てるね」
「うん」
火置さんが僕の腹の上にまたがった。僕の体を触ったりキスをしたりするのかなと思ってたら、彼女はすぐに僕のものを中に導いた。
……どうしたんだろう。今日の火置さん、とても積極的だ。そういうのも、悪くない。積極的な火置さんは比較的レアだから、僕はこのセックスを記憶に刻もうと心に誓う。
彼女はフルリと震えて、僕が彼女をかき分けて奥へ迫る圧迫感に耐えた。まだ声は出さない。
揺らぐ息のまま深呼吸を一度して、彼女は動き始めた。体を垂直に立てたまま、膝を使って、小さく小さくチュポチュポと。タン、タンとお尻が僕の体にぶつかって重みが響く。少し苦しいくらいがちょうどいい。もっと体重をかけてもいいのに。君はきっと、全体重をかけるのを遠慮している。
「火置さん?」
「はぁ、はぁ、はぁ、ん、なに……?」
「もっとしっかり座っても、平気、だよ?」
「んっ、ん、わたし、重い、から」
「え?重くないよ」
「いいの、好きなように、やらせて……」
「…………うん、わかった」
そういうなら、彼女の好きなようにしてもらうことにする。
火置さんは前に体を倒して、僕の体にお腹をくっつけた。彼女の使っている花の香りのシャンプーの匂いがふわっと鼻腔に到達し、僕は幸せに包まれる。
休憩もほどほどに、彼女は腰だけを上げ下げして大きく動き出す。うわ、それ、気持ちいいな……。
その角度だと、僕の裏側がゾリゾリとすられる。ゾリゾリ?濡れてるから、ニュリニュリ?ちょっと表現が難しい。気持ちよくて、僕の息が上がっていく。火置さんを見る。火置さんははあはあ言いながら、腰を動かしている。僕の首元に顔を埋めているから、その表情を見ることはできない。でもきっと、気持ちいいんだろう。彼女の中は、柔らかく濡れ続けている。
僕は少しソワソワしてくる。気持ちいい、とても気持ちいいけど、動きたくなってくるんだ。『僕が火置さんを』気持ちよくさせたくなってくる。
今気づいたけど火置さんって自分が上のときはあまり喋らないんだな。きっと真剣なんだろう。彼女は一つのことで頭が一杯になり、他が見えなくなる。マルチタスクが圧倒的に苦手だ。
でも、集中して一つのことを続けてくれるから、僕はどんどん気持ちよくなっていく。……そろそろ次に移ってくれないと、ただただ気持ちよくなって終わっちゃうよ。それはやめてくれ。
「火置、さん」
「はぁ、ん、あ、なに、?」
「気持ちよくて、だめ、だよ」
「っ!ん、ん、んっ!うれ、しい!」
ちょ!はりきって動かないで!
「まって、まって、まだ、おわりたくないから」
「っ、ん、わかった……」
彼女は動きを止めて、手をついて体を起こした。
「はぁ、はぁ、火置さん、張り切り過ぎだって……」
「え、ごめん……でも、気持ちよかったってこと?」
「もちろんだよ……さっき言ったでしょ?」
「…………」
「?」
「うれしい…………」
顔を真っ赤にする火置さん。どうしてそんなことで喜ぶんだろう。僕なんて、飽きるほど(飽きないけど)君から気持ちいいって言われてるぞ?
「もうちょっと、がんばる……」
彼女はそう言うと、手をついたまま自分の腰だけを僕に擦り付けるように動き出した。これは視覚の刺激が強い。なまめかしい腰の動きに目の前が霞んでいく。あー駄目だ、早く動きたい……。
でも……それじゃいつもと一緒になってしまう……。………………あ、そうだ!
「は、あ……火置さん、あれ、やって。脚広げて動いて。あれが見たい……」
「う……んっ、あ……わかった、ぁ……」
(続く)
