いちごを食べたふたり・後編

※前編はこちら

「いいよ、好きなように使って。僕のこと」

彼はそう言って、自ら服を脱いだ。上のセーターを先に。そして、ズボンを。彼のものは少し大きくなっている。もう少しで、完全になれる。

布の下に隠されていたヤミの肌。薄い筋肉と想像より色白の肌が、私の目を犯す。唇の、肌の白、そして……中心で立ち上がりつつある、ピンクがかった彼のもの……。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………」

ただ見ているだけなのに、どうしてこんなに息が荒くなるんだろう。はしたない。はしたないと思いつつ、普通の息に戻せない。見ているだけで、背筋がざわざわとして気持ちよくなってくる。脳を手でかき混ぜられているみたい。

ヤミは、そんな私のことをじっと見ている。私の目を見ながら、私の目の前で…………ヤミは自分の性器を右手でしごき始めた。

白くて長い彼の指が、男性器にからむ。熱く悩ましい吐息とともに、彼は自分の手を上下させる。私はヤミの姿に目が釘付けになって動けない。さっきよりさらに息が荒くなる。

自分のものを完全な大きさにした彼は、両腕を頭の上にあげた格好でベッドに身体を横たえた。ヤミは何も言わなかったけど、体全体がこう言っていた。『……好きにしていいんだよ?』私にわざと、それを見せつけていた。

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

私の頭は……これで完全にショートしてしまった。ちょっとこのあたりのことは、今でもうまく覚えていないの。

でもヤミがいうには、私は服も脱がずにいきなり彼のものを手に取って、下着だけ下ろして挿れようとしていたって……。……その話を聞いた時、そんなの嘘だと思ったけど……きっと本当なんだろう。

「あ、あ、あ、あ……」

寝そべったヤミにまたがって、全部を自分の内部に収める。彼のものを入れて一息ついてからのことは……なんとか記憶している。

私はいつも以上に興奮していて、性器の周りの血が増えすぎてその部分がドキドキしていて、つながっているだけでイッてしまいそうになるほどだった。動きたいのに、興奮しすぎていて上手く動けなかった。

上手く動けないから彼に動いてほしいのに、『好きにしていいんだよ?』を態度で示し続けている彼は動いてくれない。

一ミリも自分で動かないくせに、その『色気』だけを使って無理矢理にでも私を操って動かそうとする。彼のまとう、濃厚な媚薬の香水みたいなフェロモンによって、私を操ろうと……。

「あ……ああ、ん……火置さん……」

何……その声……やだ……中が熱くなる……。

「火置さん……きもちい……よ……ああ……はぁ……」

ヤミのこと、見てるだけで、私……。

「火置さん……僕のこと……使ってよ……好きに、して……」

はぁっ!はぁっ!はぁっ!自分からすごい呼吸音が聞こえる。こんなの、野獣だ……メスの野獣……。

「火置さん……お願い……火置さんにめちゃくちゃにされたいよ……もっといっぱい動いてよ、頼むから……」

「!!!!」

プチン

あ………………………………………………もう、動こう。

頭が真っ白になったことで、逆に……というべきなのか集中できるようになる。

おかしくなりそうとか、恥ずかしいとかを超えて、ただヤミを私の中でしごきたい。入れて、出して、入れて、出して、また入れて、出して、もっともっと、いれてだしていれてだして……。

「ああっ!ああっ、火置さん!あ、んっ!きもちいいっきもちいい…よ…っああっ」

彼の声が聞こえる。きれいな声。あ、すごい、気持ちいい。ヤミの声が気持ちいい。

今の私は据わった目をしてるんじゃないかって、なんとなく自分で自分がわかる。私は無心になって、彼の体の上で上下に動いた。ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ。

中が腫れてムズムズしちゃうから、彼のものでこすらなきゃ。でも、こすればこするほどムズムズする。どんどん気持ちよくなる。どこまで行っちゃうの?こわい、こわい、こわい、こわい。

「ね、火置さん、キスしてよ、ひおきさん、ひおき、さ、あっああっ」

キス……?うん、する。ヤミとのキス、だいすき……。私は体を倒してキスをする。その間もずっと、腰を動かし続ける。腰だけ別の生き物に操られているみたい。キスしながら中をごしごしするの……きもち、いい…………。

舌を絡ませてキスをしていたら、私は見つけてしまった。

あ、いちごの、香り……

本日何度目だかわからない、頭の中の「プチン」って音が聞こえた気がした。そして私の中心からは抑えきれない震えが生まれ、火山の爆発みたいな絶頂が起こる。

「あっあっあっあっああああああああっ!!!!」

思わず彼の口から顔を離し、のけぞって大声を上げる。子宮から脳天に向かうような爆発。煮えたぎったマグマが体中で暴れてる。

私はあまりの余韻の強さに彼の上から動けずに、天井を見上げたまま目を見開いてガクガクと震えていた。鈍くなった聴覚の中に満ちるノイズの奥で、彼の声が聞こえる。「……ああ、すごいね……。次は僕の番だから、楽しみにしてて……」

その言葉の意味するものがよくわからないまま、私はへなへなと彼に倒れ込む。何も考えられない。何も口から出てこない。
私がはっきりと知覚できるのは、わたしたちの周囲に充満していた、甘酸っぱいいちごの香りだけだった。

※別の「二人の愛し方」を見る(クリックで開閉します)

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よろしければシェアしてくださいませ!
  • URLをコピーしました!