発情期の彼女と僕・前編

「……火置ひおきさん……気づいてる?…………凄いことになってるけど」

「あっあっあっあっ」

閉じられない口元で、よだれを垂らしながらよがる君。繋がっている部分がジュボジュボいっていて、すごくいやらしい。上からも下からも、水が出すぎだよ。ソファのそこら中汚しちゃってるじゃないか。

君は一体全体どうしてこんなに濡れやすいんだろう。すごく濡れるから、ヌルヌルして気持ちいい。ヌルヌルするから、思う存分速く動ける。

10回くらいお尻に向かってパンパンと体を叩きつける。僕の下腹部の周りに、彼女の粘液がついている。君は今うまく喋れていないけど、その粘液で『気持いい』が伝わる。動き終わったあと、彼女に向かって言う。

「あの……さ、君のそれ……正直不安になるんだけど……。抱かれてる相手が僕だって、ホントにわかってる?意識、ちゃんとある?メチャクチャに犯してくれれば誰だっていい、なんてことない……?………………違うか?」

この『違うか?』は、体を寄せて耳元で。彼女は耳元で喋ると、ブルブル震えるから。

「ぁっ…………!!!ち、が……!!あっあっあっ!」

ほら、震えた。

彼女にとって、どうやら僕の声は興奮のスイッチになるらしい。……声だけでこんなに悦んでくれるなんて、とてもありがたいことだけれど。

「どうしたの?そんなに気持ちいい?……火置さんって、そんなにセックスが好きなの?あ、もしかして……後ろから犯されるの、好きなんだ……?」

パンパンという音に重なる、ヌチャッヌチャッという水の音。どっちもムラムラさせる音。ムラムラする上に君の顔がよく見えないから、どんどん虐めたくなってくる。

「……っ!!!はっ……!ぁっ…………あぁ……」

彼女はまた、ブルブルと震える。僕に一方的に攻められて、脳が興奮状態になり快感の信号を出しているんだろう。…………普段あんなに強気なくせに、なんでいじめられて気持ちよくなってしまうんだろうか?そういうギャップがまた、僕をエスカレートさせる。

ちなみに彼女は、体の表面だけじゃなく中もすごく震えてる。震えているっていうか、痙攣してるって感じ。壁がピクピクッって蠢いて、奥のほうがフワッと開いてくるんだ……。きっと、もっと奥においでって、僕を誘っているんだと思う。

……でも、今日はそう簡単に欲しいものは与えない。欲しいなら、君から『ほしい』って言ってくれないと駄目だ。

いつもの僕とは違うんだよ?だって、今日はそういう日だから。……君もそれを望んでるんだろ……?

「……大丈夫……?息できてる?……って、喋れないか……」

「はぁっ、あっ、あ……んっ!」

さっきから全然喋れてないじゃないか。今日は特別凄い気がする。……どうしたんだろう。

「はぁ……はぁ……、ち、ちが……う……!違うに、決まってるで、しょ……!」

「……ん、違うって?……セックスが好きって話?後ろからが好きって話?それとも……誰でもいいっていう話?」

……色々言うけど、ホントはわかってる。『誰でもいいなんて、違う』……君はそう言いたいんだろ?わかってるけど……それでも言わせたい。彼女自身の言葉で、言わせたいんだ。

「ヤミじゃなきゃ、いや…!ヤミだから、してほしい…!後ろからでも前からでもなんでも…!ヤミが、ほし、い!ほしい…っ、あああっ!」

自分で言わせたのに、言葉のインパクトにまんまとやられる。

彼女の言葉に素直に喜びすぎた自分が少しだけ気に食わなくて……ごまかすように、思いっきり奥まで突き立てた。彼女は背を反らして叫び声を上げる。反応が良くてドキドキして、つながってる部分が痺れてくる。でもまだ我慢しろ……我慢しろ、僕。

「火置さん、すごいよがり方。でも僕じゃなきゃ嫌って、本当……?……言うだけなら簡単だろ?例えば、他の男が君を無理やり犯すとする……。その時君は、感じないようにできる?できないんじゃないか?結局こんな風に、乱れちゃうんじゃないの……?」

なんて残酷なことを言うんだろう。それに、自分で言ったくせに、自分で傷ついてるのがわかる。彼女が他の男に犯されて、嫌がりながらも感じている所を見てしまったら、僕はどうなってしまう?

もし火置さんが他の男に犯されたとして、きっと彼女は徹底的に抵抗するはずだ。……でも実際、彼女は感じやすい……と思う。体の反応は止められないこともあるかもしれない。

嫌なのに、気持ち悪いのに、体は反応してしまう……。プライドの高い彼女にとって、それは地獄の苦しみな気がする。死にたくなるような責め苦であるに違いない。

……もし仮にそんな悪夢みたいなことが起こったら僕は彼女を支えなきゃいけないのに、果たして僕にそれができるかな?

もっと酷いことを彼女にして、彼女を追い詰めてしまいそうで……怖い。いつも強い彼女がボロボロになって弱っている所を見たいっていう後ろ暗い気持ちが、僕の脳の裏側のどこかにいつもこびりついているんだ。

「……こんなふうには、ならない……こんな、はしたなくならない……!絶対に、ならない……!!」

もう少し自信なさそうにするかなと思ってたのに、意外にも彼女は反論してきた。……本当?本当にそんなことができる?僕にしか感じないなんてことが、できるの??

「それって、証明できるの……?誰でもいい訳じゃないって」

……いやいや、何追い詰めてるんだよ。もっと彼女に優しくしなきゃダメだろ……。頭の隅に追いやられた冷静な僕が、ため息をついている。

でも……一度口が回りだすと止まらない。彼女の突然の強気の姿勢も拍車をかける。この時の僕らは、暴走してブレーキが効きづらくなるんだ。

「誰でもいい訳じゃないって証明するには、君が実際に他の男に犯される必要がある。犯される君の様子を見れば、それが本当かどうかわかるから。……そうじゃなきゃ、本当に『こんなふうに』ならないのかがわからない。

……それ以外にどうやって証明する?僕にしかこんなところを見せないって」

……おいおい、そろそろやめろよ自分。流石に怖いって。……でも、止まらない。本当に止まらない。どうしよう……お願いだ、誰か止めてくれ。

(後編へ続く)

※発情期の彼女に関して彼が考えてたことはこちら

※後編はこちら

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