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第一章 夕闇の出会い
第二章 神様
第三章 探索
第四章 夢
第五章 闇
最終章 二人の夏休みへ
カミサマとあなたのお話
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………………って、やらないのかーい!キモいですねーー!灰谷ヤミキモいですねーー!!
………………………………あれ、独り言聞かれちゃってました?恥ずかしいですね。いつのまにあなたにテレパシー送っちゃってたんでしょうね?
……もしかしたらあなたの信仰心が増してきたという証拠かもしれません。となるとむしろ喜ばしいことかもしれませんね。
……じゃあいいとしましょう。何度でも言いますけど、私ポジティブなんでね。
にしても……彼、見ました?相当変態ですよ?据え膳食わぬはなんとやらって言うのにね。本当にキモいです。灰谷ヤミキモい。
あ、あなたと私で賭けをしましょうか!彼が死ぬまでに、彼女とやるかどうか!あなたはどうします?どっちに賭けます?……………………………………。
……あれ?まだあなたの返事が聞こえない……困ったもんですね……。
ちなみに私は…………『やる』方に賭けます!
私も色々わかり始めてるんで。天災的な素晴らしいアイデアを思いついてしまったんですよ。びっくりすると思います。もうちょっと待っててください。色々と準備と時間が必要なんでね。
……ん?変換ミスがある?正しくは『天才的』じゃないかって……??
いや、違いますから。『天災的』。地球上の全生物が逃れ得ぬ天災と同等レベルに偉大で衝撃的な……って意味です。
私がたった今考えついた言葉です。流行らせてください。あ、ちゃんと『カミサマが思いついた言葉なんだけど』って言ってから広めてくださいね。横取りしたらダメですよ。
話は変わりますが……あなた、4日ぶりですか。まあ、まずまずの頻度です。その頻度で私とお話したくなっていれば、『カミサマ信仰』まであと一息です。頑張ってください。応援しています。
……え、違う?そういうつもりはない??おかしいですね……。
…………あ、わかりました!この前の話、根に持ってるんですね!ポジティブとネガティブの話!
だってあなた、ネガティブですもんね!私、だいぶネガティブのことディスっちゃってましたもんね!『ポジティブの方が生まれながらに優れている』的なことを言った覚えがあります!
なるほどそれだったか……やっちゃいました。信者を一人減らしちゃいました。墓穴を掘りました、はい。
いやいやでもね、それはあなた、私が言いたかった意図を取り違えています。私は「ポジティブが優れていて、ネガティブが劣っている」って言いたかった訳ではないのです。
確かにポジティブは肉体や精神が恵まれている証拠ではあるし、リーダーの素質があるということにはなるけれど、だとしても優劣論に持っていくつもりはなかった!本当です。信じてください。信じるものは救われるんですよ?
私が言いたかったのはね、生物多様性の話です。
なぜ人間はポジティブとネガティブがいると思いますか?だって、ポジティブの方が優れているのなら、進化の過程でポジティブだけが残るはずでしょう?ネアンデルタール人が絶滅したように、ネガティブ人だって絶滅するはずなんです。
……でもそうではない。ネガティブな人間は、絶対にどこの時代にも、絶滅せずにしぶとく生き残っている。
これはね、人類が、種として、ネガティブを求めているからなんです。本当です。
人類に限らず他の動物だってそうなのですよ?食べ物がなくなった時に新天地に行きたがる群れのうちの8割と、その場に留まりたがる群れのうちの2割がいる。どんな動物だってそういう傾向があるのです。
これと同じで、人間もグイグイ行きたいポジティブが多数の一方で、ウジウジしたいネガティブが一定数いるわけです。
その理由はね、何か地球に、常識では考えられないような天変地異が起こった時に、一部を生き残らせるためなのです。
みんなでグイグイ行ってしまって、グイグイ行った先に隕石が落ちてきたら絶滅してしまうでしょう?ウジウジ組がその場に留まるから、絶滅を免れるわけですね。うーん、生物ってすごい。
というわけで、あなたがネガティブなのは、なにも恥ずべきことではない。あなたは『人類の切り札』なのですから。ネガティブだって、愛すべきその人の個性なのですよ。
私はそういった、人の子一人ひとりの個性を、魂の底から愛しているのです……。
………………どうですか?私のこと好きになりました?カミサマのこと信じてもいいかも……って、キュンとしましたね?
恥ずかしがらなくていいんです。堂々と信仰してください。もう国民のほとんどは私を信仰しているはずなので、何も恐れることはありません。
……あれ、話が長い?……2回連続で同じこと言われるとさすがに傷つきますね……まあ、いいでしょう。
また近い内に、お話しましょうね。約束ですよ。私、あなたとのお話が結構好きなんです。
何にせよ、これからもよろしくお願いしますね。
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