カミサマとあなたのお話
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………………って、やらないのかーい!キモいですねーー!灰谷ヤミキモいですねーー!!
………………………………あれ、独り言聞かれちゃってました?恥ずかしいですね。いつのまにあなたにテレパシー送っちゃってたんでしょうね?
……もしかしたらあなたの信仰心が増してきたという証拠かもしれません。となるとむしろ喜ばしいことかもしれませんね。
……じゃあいいとしましょう。何度でも言いますけど、私ポジティブなんでね。
にしても……彼、見ました?相当変態ですよ?据え膳食わぬはなんとやらって言うのにね。本当にキモいです。灰谷ヤミキモい。
あ、あなたと私で賭けをしましょうか!彼が死ぬまでに、彼女とやるかどうか!あなたはどうします?どっちに賭けます?……………………………………。
……あれ?まだあなたの返事が聞こえない……困ったもんですね……。
ちなみに私は…………『やる』方に賭けます!
私も色々わかり始めてるんで。天災的な素晴らしいアイデアを思いついてしまったんですよ。びっくりすると思います。もうちょっと待っててください。色々と準備と時間が必要なんでね。
……ん?変換ミスがある?正しくは『天才的』じゃないかって……??
いや、違いますから。『天災的』。地球上の全生物が逃れ得ぬ天災と同等レベルに偉大で衝撃的な……って意味です。
私がたった今考えついた言葉です。流行らせてください。あ、ちゃんと『カミサマが思いついた言葉なんだけど』って言ってから広めてくださいね。横取りしたらダメですよ。
話は変わりますが……あなた、4日ぶりですか。まあ、まずまずの頻度です。その頻度で私とお話したくなっていれば、『カミサマ信仰』まであと一息です。頑張ってください。応援しています。
……え、違う?そういうつもりはない??おかしいですね……。
…………あ、わかりました!この前の話、根に持ってるんですね!ポジティブとネガティブの話!
だってあなた、ネガティブですもんね!私、だいぶネガティブのことディスっちゃってましたもんね!『ポジティブの方が生まれながらに優れている』的なことを言った覚えがあります!
なるほどそれだったか……やっちゃいました。信者を一人減らしちゃいました。墓穴を掘りました、はい。
いやいやでもね、それはあなた、私が言いたかった意図を取り違えています。私は「ポジティブが優れていて、ネガティブが劣っている」って言いたかった訳ではないのです。
確かにポジティブは肉体や精神が恵まれている証拠ではあるし、リーダーの素質があるということにはなるけれど、だとしても優劣論に持っていくつもりはなかった!本当です。信じてください。信じるものは救われるんですよ?
私が言いたかったのはね、生物多様性の話です。
なぜ人間はポジティブとネガティブがいると思いますか?だって、ポジティブの方が優れているのなら、進化の過程でポジティブだけが残るはずでしょう?ネアンデルタール人が絶滅したように、ネガティブ人だって絶滅するはずなんです。
……でもそうではない。ネガティブな人間は、絶対にどこの時代にも、絶滅せずにしぶとく生き残っている。
これはね、人類が、種として、ネガティブを求めているからなんです。本当です。
人類に限らず他の動物だってそうなのですよ?食べ物がなくなった時に新天地に行きたがる群れのうちの8割と、その場に留まりたがる群れのうちの2割がいる。どんな動物だってそういう傾向があるのです。
これと同じで、人間もグイグイ行きたいポジティブが多数の一方で、ウジウジしたいネガティブが一定数いるわけです。
その理由はね、何か地球に、常識では考えられないような天変地異が起こった時に、一部を生き残らせるためなのです。
みんなでグイグイ行ってしまって、グイグイ行った先に隕石が落ちてきたら絶滅してしまうでしょう?ウジウジ組がその場に留まるから、絶滅を免れるわけですね。うーん、生物ってすごい。
というわけで、あなたがネガティブなのは、なにも恥ずべきことではない。あなたは『人類の切り札』なのですから。ネガティブだって、愛すべきその人の個性なのですよ。
私はそういった、人の子一人ひとりの個性を、魂の底から愛しているのです……。
………………どうですか?私のこと好きになりました?カミサマのこと信じてもいいかも……って、キュンとしましたね?
恥ずかしがらなくていいんです。堂々と信仰してください。もう国民のほとんどは私を信仰しているはずなので、何も恐れることはありません。
……あれ、話が長い?……2回連続で同じこと言われるとさすがに傷つきますね……まあ、いいでしょう。
また近い内に、お話しましょうね。約束ですよ。私、あなたとのお話が結構好きなんです。
何にせよ、これからもよろしくお願いしますね。
「刑務所編」の目次を開く
第一章 夕闇の出会い
第二章 神様
- 第七話 2日目の朝 火置ユウの目覚め
- 第八話 2日目の朝 灰谷ヤミの目覚め
- 第九話 二人の朝ご飯
- 第十話 ヤミの神様
- 第十一話 神様との出会い
- 第十二話 カミサマとの邂逅
- 第十三話 第一回カミサマ面談
- 第十四話 面談を終えて
- 第十五話 シャワーの時間
- 第十六話 口喧嘩
- 第十七話 闇に沈む記憶
第三章 探索
- 第十八話 自由時間
- 第十九話 刑務所探索その1
- 第二十話 図書室にて
- 第二十一話 ヤミの違和感
- 第二十二話 ヤミの神様の話~光の救世主~
- 第二十三話 出会いから5日
- 第二十四話 彼女はいかにして魔法使いになったのか その1
- 第二十五話 ヤミの神様の話~禁忌の4項目~
- 第二十六話 カミサマとあなたのお話
第四章 夢
- 第二十七話 よき友人とは
- 第二十八話 彼女はいかにして魔法使いになったのか その2
- 第二十九話 続・カミサマとあなたのお話
- 第三十話 彼の話を聞く その1
- 第三十一話 ヤミの神様の話~神様の愛~
- 第三十二話 神様の夢
- 第三十三話 もう一人の死刑囚
- 第三十四話 Clair de Lune
- 第三十五話 私の決意
- 第三十六話 刑務所探索 その2
- 第三十七話 彼の話を聞く その2
- 第三十八話 放棄された刑務所
- 第三十九話 刑務所内の追いかけっこ
- 第四十話 ヤミの心の中
- 第四十一話 その日の夜、彼は夢を見る
第五章 闇(連載中)
- 第四十二話 面談前のアイスブレイク
- 第四十三話 第二回カミサマ面談
- 第四十四話 第二回カミサマ面談を終えて
- 第四十五話 闇に沈む記憶 その2
- 第四十六話 別々の部屋
- 第四十七話 彼の殺人~ヤミの神様の話
- 第四十八話 灰谷ヤミの罪
- 第四十九話 死刑まで2週間を切った彼がシャワー室で考えた事とした事
- 第五十話 動かずのエレベーターの正体
- 第五十一話 火置ユウのカミサマ面談
- 第五十二話 ジストニア
- 第五十三話 決別
第六章 真実
最終章 二人の夏休みへ
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