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第一章 夕闇の出会い
第二章 神様
第三章 探索
第四章 夢
第五章 闇
最終章 二人の夏休みへ
続・カミサマとあなたのお話
こんにちは、またお会いしましたね。
そんなに嫌そうな顔をしないでください……。
気づいてませんか?これはあなたが望んだことなんですよ?
『そろそろカミサマとお話がしたい……』そう思うと私が出てくるようになっているんです。本当ですって。
あのね、今日はとても大事なことをお話しようと思って、この時間を設けたのです。あなたもそろそろ気になっているでしょう。っていうか、以前私に尋ねたでしょう?『この刑務所は何なんだ』って。
この刑務所が何なのか、それは………………………………………………………………残念ながらまだお教えできないんですが、私の目的ならお教えできます。
どうして私が、この国の宗教のトップになったのか。どうしてみなさんとテレパシーでお話したいのか。今日はその理由をお話しようと思うのです。
理由は信じられないくらい単純です。私の人生……いや、神生?の最終目標は、『全人類を私に信仰させること』なんです!
どうです?単純でしょう?あまりにも普通すぎて驚きました?でも、これぞ神じゃないですか?カミサマなんですから、信仰されてなんぼなわけです。
それを『全人類』という自分に厳しい高い目標を掲げ、あえて茨の道を行くわけです。ええ、ええ。尊敬していいですよ。自分に厳しいって、すごくかっこいいですよね。
…………ああ、そうですね、見たところ火置ユウも自分に厳しいようですが……。
彼女の場合『自分に厳しいですね』って言ったら真顔で『そんなことない』とか言いそうで、かわいくないなーって思います。
そういうときは、笑顔で堂々と『そうです、自分に厳しいんです!』って言った方が好感度が上がります。そういったことを、彼女はわかっていないと思いますね。
つまり彼女は、ちょっと賢い女風な感じを醸し出しといて、ただの馬鹿だということです。自己アピールをうまくできない人間は、プライドの高い馬鹿です。
……彼女に言ったら殺されそうですから、内緒にしておいてください。お願いしますね。
…………え、話が脱線した?なんで全人類を信仰させたいのかって?女でも侍らせて、嫌らしいことをしたいのかって??
あー…………確かに、よくありますよね、そういうの。宗教モノのストーリーで、教祖が女を侍らせるやつ。なんなら読者に求められていますよね?そういう展開。
でも残念ながらそういうのはないです、ご期待に添えずごめんなさいね。まあそもそも、私は神であって教祖ではないですしね。
嘘だ?お前は嫌らしいことが好きそう??
仮に嫌らしいことが好きだとして……私は本当の神ですよ?超大前提として、人間とは『種』が違うんです。
だってあなた、犬とセックスしたいですか?相当特殊な性癖を持っていない限りは、しないでしょう?私は至ってノーマルなんです。
あ、で、ですね。全人類を信仰させたい理由、ちゃんとあるんですよ!それについても出し惜しみせず教えます。別に減るもんじゃないですから。
私はね、全ての人間から、愛されたいんです。この地球上で一人残らず全てから愛されたい。
なぜ愛されたいか?これまた理由は単純です。
人間はひとりひとり違うから、愛し方も愛され方もみんな違う。飽きないのです。楽しいのです。
それを、地球の全人口……80億人超の愛を感じることができるって、もう、一生遊び通せる娯楽じゃないですか?同じゲームを何周もするより、ずっとずっと刺激的。
80億人ですから、単純計算で一人から1秒愛を感じていくだけでも、200年以上楽しめます。
一人1時間だったら、もっと長い間じっくり楽しめます。
毎日一人からじっくり愛を感じていったら80億日……つまり2千191万7千808.21917808……年楽しめるということです!!
……でもこれだけ時間をかけていたら多分人間は絶滅するでしょうね。一人ひとりを1日ずつはやりすぎのようです。もう少しまきで楽しむことにします。
とまあ、そういったわけなのです。わかりましたか?私が信仰されたい理由が。
とても単純な理由だったでしょう?だって、『より多くの愛を感じたい』ただそれだけですからね。普通すぎて眠くなりました?
そうですね、面白みにかけていたかもしれません。だがしかし世の中ってそういうものなのです。色んな設定とか目的とかを複雑にすればいいってもんでもないんです。
生命の持つ『不確かさ』を、私は知っていますからね。機械のような精密な設定を考えたところで……現実はうまくいかないのが当たり前なのです。単純な目的を設定したほうが、案外うまくいくんですよ。
そう、つまり今回の私のお話の肝は『シンプル・イズ・ザ・ベスト』!そういうことでした。
ありがたく受け取って、広めてくださいね。
ありがとうございます。今回もいい時間を過ごすことができました!ええ、あなたのおかげです。
それではまた次回会えるときまで、ごきげんよう。
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